リビング照明|光と影で空間に奥行きを
リビングの照明を見直したいとお考えではありませんか。天井のシーリングライトだけでは、どこか空間が平坦に感じられるもの。テーブルランプやフロアランプを取り入れると、光と影のコントラストが生まれ、同じ部屋がまったく違う表情を見せてくれます。
この記事では、照明の種類と特徴はもちろん、ヨーロッパ邸宅に根づく「一室多灯」の文化的背景から、真鍮照明が世代を超えて愛される理由、そして東西の美意識が融合した装飾照明の魅力まで、クラシック家具専門店ならではの視点でお伝えします。
リビング照明の種類と役割
リビングに取り入れたい照明は、大きく「主照明」と「補助照明」に分けられます。
主照明として使われるのは、シーリングライトやペンダントライト。部屋全体を照らし、基本的な明るさを確保します。
補助照明は、テーブルランプ、フロアランプ、ブラケットライトなど。主照明だけでは生まれない陰影を作り出し、空間に立体感と温かみを与えます。
ポイントは、主照明だけに頼らないこと。補助照明を組み合わせることで、空間はより豊かな表情を見せます。
なぜヨーロッパでは「一室多灯」なのか
日本では、天井のシーリングライトひとつで部屋全体を明るく照らす「一室一灯」が一般的です。一方、ヨーロッパの邸宅を訪れると、テーブルランプやフロアランプ、壁付けのブラケットライトが複数配置された「一室多灯」の空間に出会います。
この違いには、歴史的な背景があります。
シャンデリアの起源——光は権力の象徴だった
シャンデリアの歴史は、紀元前のギリシャ・ローマ時代に遡ります。当時、ロウソクは非常に高価なもので、宮殿や寺院など限られた空間でしか使用されませんでした。
これらの建物は石造りで天井が高く、十分な明るさを得るには、どうしても複数の灯りを高い位置から吊り下げる必要がありました。11世紀初め頃、こうした多灯式の器具が「シャンデリア」と呼ばれるようになります。
1667年、太陽王ルイ14世がパリに街路照明を導入しました。パリ最初の外灯は、912の通りに2,736本。それはロウソクが1本入っただけのランタンでしたが、当時、「光」とは権力と富の象徴だったのです。
こうした歴史の中で、ヨーロッパでは「複数の光源で空間を照らす」文化が根づいていきました。
日本の空間に合った一室多灯の取り入れ方
ただし、ヨーロッパの照明文化をそのまま日本の住宅に持ち込むのは、必ずしも正解ではありません。
薄い色の瞳を持つ欧米人は、白色系の強い光を好まない傾向があります。一方、黒い瞳の日本人にとっては、ある程度の明るさがないと「暗い」と感じてしまうことも。
大切なのは、西洋の真似をすることではなく、日本の空間に合った形で光と影のコントラストを取り入れること。主照明を少し抑えめにしながら、テーブルランプやフロアランプで「明るい場所」と「やや暗い場所」を作る。そうすることで、陰影のある奥行きのある空間が生まれます。
真鍮——何十年、何百年と使い続けられる素材
高級照明のベース部分によく使われる素材が、真鍮(しんちゅう)です。
真鍮は銅70%、亜鉛30%で構成される合金。新品のときは明るいゴールドの輝きを放ちますが、空気や人の手に触れることで徐々に酸化し、黄金色から飴色へ、飴色からダークブラウンへ、そして墨黒へと、長い時間をかけて表情を変えていきます。
なぜ高級照明に真鍮が選ばれるのか
ヨーロッパの伝統的な照明器具には真鍮を使うものが多く、今でも「良いものは真鍮で」というのが常識化しています。
何十年、何百年とアンティーク市場で取引され続けているシャンデリアやテーブルランプの多くは、真鍮製です。手入れを続けていけば、子どもの代、孫の代まで受け継いでいける——それが真鍮という素材の価値です。
経年変化を「育てる」楽しみ
革製品を使い込むほどに愛着が湧くように、真鍮もまた「育てる」素材です。
新品の輝きを保ちたい場合は、柔らかい布で乾拭きを。経年変化を楽しみたい場合は、あえてそのままの状態で使い込む。どちらの楽しみ方も、真鍮ならではのものです。
シノワズリ——東西の美意識が融合した装飾
高級照明のモチーフとして、龍(ドラゴン)や鳳凰、花鳥図などが描かれることがあります。これらは「シノワズリ(中国趣味)」と呼ばれる美術様式に由来しています。
なぜヨーロッパの高級家具に東洋のモチーフが描かれるのか
シノワズリは、17世紀にヨーロッパで登場し、18世紀に人気のピークを迎えました。
当時、ヨーロッパでは磁器を作る技術がなく、中国や日本から輸入される白磁や染付皿は、貴族の間で宝石と同じくらいの価値がありました。ヴェルサイユ宮殿をはじめ、ヨーロッパ中の豪華な邸宅で「中国の間」が競うように作られ、東洋の美に対する憧れが高まっていきます。
こうした流行の中で、幻想的な山水風景、龍、鳳凰、竹、猿といった東洋的なモチーフが、ヨーロッパの家具や照明に取り入れられるようになりました。
東西のコラボレーション
興味深いのは、シノワズリは中国製品の「コピー」ではないということ。
ヨーロッパの職人たちは、東洋の美意識を自分たちなりに解釈し、独自のデザインとして昇華させました。18世紀イギリスの家具職人トーマス・チッペンデールは、中国風の雷文(らいもん)装飾を施したマホガニー製の家具を製作し、「チッペンデール様式」として知られる独自のスタイルを生み出しています。
シノワズリとは、東洋への憧れから生まれた、西洋と東洋の美意識の融合なのです。
貝殻細工と手描き——職人の手仕事が息づく照明
高級照明の魅力は、素材だけではありません。職人の手仕事による装飾技法もまた、量産品にはない特別な価値を与えます。
貝殻細工(ペンシェル・マザーオブパール)
テーブルランプのシェードやベース部分に施される貝殻細工。真珠貝の内側を薄く削り出した「マザーオブパール」は、光の角度によって七色に輝く繊細な美しさを持っています。
二つとして同じ模様がないのは、自然素材ならでは。海で数十年かけて育まれた貝殻が、職人の手によって照明の一部となり、空間に自然の優美さを添えます。
手描きの温もり
一つひとつ職人が丁寧に絵付けを施す手描きの照明。機械では再現できない筆運びや色の濃淡が、世界にひとつだけの表情を生み出します。
同じデザインでも、見比べればわずかな違いに気づく。それは「製品」ではなく「作品」と呼びたくなる、手仕事の温もりです。
メートランドスミスについて
ここまでご紹介してきた真鍮の経年変化、貝殻細工、手描きの絵付け、そしてシノワズリのモチーフ。これらは、1979年にロンドンで創設された高級インテリアブランド「メートランドスミス(MAITLAND-SMITH)」の職人たちが、日々その技を磨き、一点一点丁寧に仕上げているアイテムに息づいています。
メートランドスミスは、家具からライティング、デコールまで、インテリアに関わる幅広いカテゴリーを手がけるインテリア総合メーカーです。その多くのアイテムがハンドメイドで作られ、代々受け継いできたかのようなアンティーク仕上げが特徴。「アクセントファニチャー」という分野に早くから注目し、空間に格調と個性を与える品々を生み出してきました。
西村貿易は1988年より日本唯一の正規輸入代理店として、メートランドスミスの世界観をお届けしています。
おすすめのランプ
モンキーランプ
レザー製のブックの上で、モンキーが尾でペンシェル製のランタンを掲げているデザイン。遊び心と職人技が融合した、メートランドスミスの代表作のひとつです。造形的にもユニークなこのランプは、オブジェとしても楽しめ、ゲストとの会話のきっかけにもなります。
ドラゴンランプ
ペンシェル製のベースの中央に、5本爪のドラゴンを配したランプ。表情、鱗、爪のディテールにこだわった真鍮製のドラゴンは、18世紀ヨーロッパで流行したシノワズリの美意識を現代に継承しています。クラシックな空間にも、モダンな空間にも調和します。
よくある質問
Q1. 昼白色と昼光色どっちが明るいですか?
Q2. 6畳の部屋に8畳用のシーリングライトは使えますか?
Q3. LEDシーリングライトの欠点は何ですか?
Q4. LEDシーリングライトの1ヶ月の電気代はいくらですか?
Q5. リビングに適した照明の明るさは何ルーメンですか?
Q6. テーブルランプはどこに置くのが効果的ですか?
Q7. フロアランプの高さはどのくらいがよいですか?
Q8. シャンデリアを取り付けるにはどのくらいの天井高が必要ですか?
Q9. 真鍮照明のお手入れ方法を教えてください。
Q10. 照明のコーディネート相談はできますか?
まとめ
リビング照明は、空間の印象を大きく左右する重要な要素です。シーリングライトだけに頼らず、テーブルランプやフロアランプを組み合わせることで、光と影のコントラストが生まれ、奥行きのある格調高い空間になります。
真鍮やペンシェル、手描きの絵付けなど、職人の手仕事が息づく照明には、何十年と使い続けられる価値があります。子どもの代、孫の代まで受け継いでいける——そんな照明との出会いを、ぜひショールームでお確かめください。
時を超える美との出会い
白金台のショールームでは、Maitland-Smith、Theodore Alexander、Althorp など、 クラシック家具の名門ブランドから厳選したアイテムを実際にご覧いただけます。
西村貿易株式会社 白金台ショールーム
〒108-0071 東京都港区白金台3-2-10 白金台ビル1F
営業時間: 10:00~18:00(月曜定休)
電話: 03-5793-3694


