アームチェアの選び方|空間を格調高く演出する一脚
「リビングにゆったりくつろげる椅子が欲しい」「書斎に上質な一脚を置きたい」——そんな想いからアームチェアを探している方も多いのではないでしょうか。
肘掛けのある椅子は、単なる座る道具ではありません。空間の印象を決め、暮らしの質を高める存在です。この記事では、アームチェアの選び方を素材・スタイル・空間別に解説し、職人の手仕事が息づく上質な一脚との出会い方をご紹介します。
アームチェアとは——椅子の原点に立ち返る
実は、椅子の原点だったアームチェア
アームチェアとは、その名のとおり肘掛け(アーム)のついた椅子を指します。日本語では「肘掛け椅子」や「安楽椅子」とも呼ばれています。
興味深いのは、アームチェアの歴史です。その起源は古代エジプト時代まで遡ります。西洋では16世紀末ごろまで、「椅子」と言えば全てアームチェアのことを意味していました。つまり、アームチェアこそが椅子の原点だったのです。
当時、家具はとんでもない高級品で、お抱えの家具職人がいる貴族しか使うことができませんでした。一般庶民が椅子を使えるようになったのは、18世紀以降のことです。
アームチェアの種類
肘掛け椅子にも、実はさまざまなスタイルがあります。
フルアームチェアは、肘掛けが座面から背もたれまで完全につながったタイプ。腕全体をしっかり預けられるため、最もリラックスできる形状です。一方、ハーフアームチェアは肘掛けが短く、立ち座りがしやすいのが特徴。ダイニングでの使用にも適しています。
ウィングバックチェアは、背もたれの両サイドに「翼」のような張り出しがあるデザイン。もともとは暖炉の前で風を遮るために生まれた形で、包み込まれるような座り心地が魅力です。
アームチェアを選ぶメリットと注意点
アームチェアには、通常の椅子にはない価値があります。ゆったりとした座り心地、空間に風格を与える存在感、長時間座っても疲れにくいという実用性——これらが、アームチェアならではの魅力です。
一方で、場所をとる点やダイニングテーブルの下に入らない場合があることには注意が必要です。コンパクトなハーフアームタイプを選ぶ、テーブル下の高さを事前に確認するなどの対策があります。
素材から選ぶアームチェア
アームチェアの印象と座り心地を大きく左右するのが、素材の選択です。
木製フレームのアームチェア——マホガニーの魅力
木の温もりを感じられる木製アームチェアは、クラシックスタイルの定番です。
特にマホガニーは、世界三大銘木のひとつとして古くから高級家具に用いられてきました。深みのある赤褐色と、光の加減で表情を変える美しい木目が特徴です。経年変化によって色味が深まり、使い込むほどに味わいを増していく——そんな「育てる」楽しみがあります。
良質な木製アームチェアは、何世代にもわたって受け継がれます。祖父の書斎にあった椅子を、孫が使う。そうした時を超えた物語を紡いでくれるのが、木製家具の魅力です。
レザーのアームチェア——時を経て深まる美しさ
上質な革を張ったアームチェアは、時を経るほどに美しさを増す素材です。
植物タンニンなめしで丁寧に仕上げられた革は、使い込むうちに独特の艶と柔らかさが生まれます。新品の張りのある質感から、徐々に体に馴染んでいく過程もまた、レザーアームチェアの醍醐味です。
書斎やライブラリーには、知的な雰囲気を演出するレザーアームチェアが特によく似合います。
空間に合わせたアームチェアの選び方
リビングのアームチェア
リビングでは、ソファと組み合わせたシーティングアレンジメントが基本です。あえて異なるスタイルのアームチェアをアクセントにする選び方もあります。窓際にアームチェアとサイドテーブル、フロアランプを配置すれば、それだけで読書コーナーの完成です。
書斎のアームチェア
書斎のアームチェアには、デスクや書棚と調和する木製フレームのものがおすすめです。マホガニーやウォールナットといった深い色味の木材は、知的な空間にふさわしい落ち着きを与えます。
ダイニングのアームチェア
ダイニングテーブルの両端に置かれたアームチェアは、ホストチェアと呼ばれます。家族やゲストをもてなす席として、通常のダイニングチェアよりも格調の高い一脚を選びたいものです。
クラシックアームチェアの世界——チッペンデールとクイーンアン
クラシックアームチェアには、数百年の歴史を持つ様式が息づいています。その背景を知ることで、一脚の椅子に込められた価値がより深く理解できるでしょう。
世界初の家具デザイナー——トーマス・チッペンデール
「チッペンデール様式」の名で知られるトーマス・チッペンデールは、世界で最初の家具デザイナーと呼ばれる人物です。ハンス・ヴェグナーやアルネ・ヤコブセン、チャールズ・イームズなど、現代の著名な家具デザイナーの原点となった人物でもあります。
1754年、チッペンデールは世界で初めて家具の専門書「紳士と家具職人のための手引書(The Gentleman and Cabinet-Maker’s Director)」を出版しました。この本により、貴族の独占物だった家具のデザインが一般に公開され、家具の「民主化」が始まったのです。
チッペンデール様式の椅子には4つのタイプがあります。クイーン・アン風(ボール&クロウの脚が特徴)、ゴシックリバイバル風(背のゴシックアーチ)、ロココ風(背にリボン装飾)、そして中国風(シノワズリ)(東洋的装飾)です。
東洋貿易が盛んな17世紀中頃からヨーロッパで広まったシノワズリを、椅子のデザインに取り入れたのはチッペンデールが最初でした。西洋と東洋の美意識が融合した、革新的なスタイルだったのです。
クイーンアン様式——女王が求めた「使いやすさ」
18世紀、イギリスのアン女王時代に誕生したクイーンアン様式。興味深いのは、アン女王自身が華やかで豪華な見た目ではなく、「使いやすさ」を重視したという点です。女性らしい柔らかいデザインで、実際に使いやすい家具を求めました。
クイーンアン様式の椅子には3つの特徴があります。背中を支える板が花瓶のようなデザインになっている背もたれ、快適性を重視した座面のクッション、そして優美な曲線を描く猫脚(カブリオールレッグ)です。
機能性と美しさの両立——現代のプロダクトデザインにも通じるこの価値観は、実は300年前の女王によって提唱されていたのです。
職人技が生み出すアームチェアの価値
量産品には決して真似できない、職人の手仕事が息づくクラシックアームチェア。その価値の源泉となる技法についてご紹介します。
手彫り装飾——一点一点に宿る表情
背もたれのモチーフ、脚部の装飾、アームの曲線——クラシックアームチェアの各所には、熟練職人による手彫りが施されています。
機械による加工では、すべてが均一になります。しかし、人の手で彫られた装飾には、微妙な揺らぎがあります。その揺らぎこそが、温もりと奥行きを生み出すのです。
チッペンデールスタイルの椅子に見られる貝殻や葉のモチーフ。ゴシックスタイルの尖塔アーチを模した透かし彫り。これらは、何十年もの修行を積んだ職人だけが表現できる芸術です。一脚の椅子に数日、時には数週間をかけて彫りあげる——そうした時間と技術の結晶が、手彫り装飾なのです。
アンティーク仕上げ——時を纏う技法
「新品なのに、代々受け継いできたかのような風格がある」——そう感じさせるのが、アンティーク仕上げの妙です。
熟練の職人が、塗装と研磨を幾重にも重ねながら、時を経た風合いを再現していきます。角の擦れ、木目に沿った色の濃淡、使い込まれた艶——そうしたディテールの積み重ねが、歴史を纏ったような仕上がりを生み出します。
これは単なる「古く見せる」技術ではありません。100年後にはどのような姿になっているか、その経年変化を逆算して仕上げを施す。そんな長い時間軸を見据えた技法なのです。
オルソープについて
オルソープ(ALTHORP)は、ダイアナ元皇太子妃の生家スペンサー伯爵家の邸宅オルソープにて、500年間に渡り代々の当主が贅を凝らして集めてきた家具・調度品を、ポール・メートランドスミスが9代目スペンサー伯爵の強い意向により忠実に再現したものです。館のエントランスであるウットンホール(The Wootton Hall)を印象的に飾るホールチェアー、ウィリアム王の間(The King William Bedroom)のデスク、また現在スペンサー家が所有するジョージ・ワシントン家ゆかりのチェストなど、数々の文化的価値の高い由緒あるアイテムがコレクションに加えられています。
チッペンデールスタイル、ネオクラシカル、ゴシック、Chinese Chippendaleなど、英国の伝統的なスタイルを継承しながらも、現代の暮らしに寄り添うデザインを展開しています。
西村貿易は、ALTHORP/オルソープの正規輸入・販売代理店です。日本国内における独占販売をTHEODORE ALEXANDER/セオドア アレキサンダー社より委託されております。
おすすめ商品
アームチェア【M4100-448.1AVJ】
クラシックな佇まいの中に、現代の暮らしに寄り添う座り心地を実現したダイニングアームチェア。マホガニー材のフレームに施された繊細な装飾が、食卓に格調を添えます。
よくある質問
Q1. アームチェアとはどういう意味ですか?
Q2. アームチェアのデメリットは?
Q3. アームチェアを日本語で何といいますか?
Q4. 世界一売れている椅子は?
Q5. アームチェアとアームレスチェアの違いは?
Q6. アームチェアはどこに置くのがおすすめですか?
Q7. アームチェアの素材はどれを選べばいいですか?
Q8. クラシックスタイルのアームチェアの特徴は?
Q9. アームチェアのお手入れ方法は?
Q10. 高級アームチェアの相場はいくらですか?
まとめ
アームチェアは、空間の印象を決め、暮らしの質を高める存在です。その歴史は古代エジプトにまで遡り、椅子の原点とも言えるものでした。
チッペンデールやクイーンアンといったクラシックスタイルには、数百年の知恵と美意識が凝縮されています。そして、熟練職人による手彫りやアンティーク仕上げの技法が、一脚の椅子に唯一無二の価値を与えます。
素材やスタイルを吟味し、ご自身の暮らしに寄り添う一脚をお選びください。職人の手仕事が息づくクラシックアームチェアは、時を経るほどに味わいを増し、世代を超えて受け継がれていく——そんな価値ある家具との出会いを、私たちはお手伝いいたします。
時を超える美との出会い
白金台のショールームでは、Maitland-Smith、Theodore Alexander、Althorp など、 クラシック家具の名門ブランドから厳選したアイテムを実際にご覧いただけます。
西村貿易株式会社 白金台ショールーム
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